実績紹介

2016/03/20


 

日本遺産「飛鳥」モニターツアー第2弾!インバウンド編をこのたび平成28年3月9日(水)~10日(木)に行いました。

日本遺産「日本国創生のとき~飛鳥を翔(かけ)た女子たち~」の主なターゲットである外国人を対象にした旅行商品のモニターツアーとなり、今回は京阪神の大学に在籍する外国人留学生(オーストリア・アメリカ・ベトナム・中国・台湾・ドイツ・ハンガリー)9名の方がご参加くださいました。最新の超小型モビリティ「MICHIMO」に乗って、藤原京や天武持統天皇陵などの日本遺産認定スポットの散策、また明日香の特産でもあるあすかルビーのイチゴ狩り体験、手作りのランドセル工房見学や醤油蔵体験など、外国人観光客が、個人旅行では体験できない飛鳥ならではの魅力に溢れたアクティビティと、飛鳥地方の日本遺産認定ポイントを巡る内容となっております。

日本が「国家」として歩み始めた飛鳥時代。この時代を牽引したのは女性であった。橿原市と高取町と明日香村が文化庁に申請していました“女性たちが活躍した軌跡で語る飛鳥時代の新たな物語「日本国創成のとき-飛鳥を翔(かけ)た女性ち-」”が、平成27年4月24日に「日本遺産」に認定されました。

外国人観光客にとって、日本遺産の歴史だけを語ると難解であると考え、交流・体験を重視した中から「飛鳥」を知識として吸収していくようなツアー作りを目指しました。

日時
平成28年3月9日(水)~3月10日(木)

参加者

  • 国内在住の外国人留学生
    (オーストリア・アメリカ・ベトナム・中国・台湾・ドイツ・ハンガリー) 8名
  • 旅行会社
    株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル 1名


地域連携団体

  • 飛鳥ニューツーリズム協議会
  • 明日香村商工会
  • 高取町商工会
  • (一財)明日香村地域振興公社
  • (一財)橿原市観光協会
  • 橿原市昆虫館
  • 飛鳥地域内民間事業者多数


行程

3月9日(水)

10:00 近鉄橿原神宮前駅中央出口集合

飛鳥地域で乗車可能な小型EV車Michimoに試乗。

(国際免許をお持ちの方が少ないので、Michimoスタッフが運転するEV後部座席に乗っていただく)

日本遺産関連資産群散策

(深田池・藤原宮跡・本薬師寺跡)

12:00
オリエンテーション
アスカゲストハウス
13:00

昼食

奈良県立万葉文化館隣チャレンジショップ「Asucome」内にて。

日本遺産関連資産群、及び万葉文化館等散策

(酒船石遺跡・伝飛鳥板蓋宮跡)

 

14:30

徳星醤油醸造場にて醤油蔵体験
講師: 吉田宏(徳星醤油醸造場代表)
 

16:00

土佐街道・町屋の雛巡り見学

及び日本遺産関連遺産群散策(光栄寺人頭石)
 

 

16:00

ホームステイの2組は、飛鳥歴史公園石舞台地区・風舞台にて入村式。

16:10

他の2組は、飛鳥寺を見学

17:30

アスカゲストハウス(2名)
明日香癒里の里 森羅塾(宿泊) にてそれぞれ宿泊
 

外国人向け宿泊施設「ASUKA GUEST HOUSE」は、飛鳥寺、飛鳥坐神社、国営飛鳥歴史公園甘樫丘地区から徒歩数分圏内に立地するなど、飛鳥の拠点にふさわしい場所。

英語対応可能なスタッフが常駐し、今回はドミトリー部屋での滞在。夕食は、明日香村素材を使った郷土料理。

 農家民宿・とまりゃんせは、英語対応可能な女性が対応し、農業体験及び協働調理を実施。

 

 民家ステイ・西川家は、歴史の町今井のど真ん中に位置し、過去数々の民家ステイの生徒を受け入れている。今井町散策を実施。

 

森羅塾では、FIT(個人富裕層)向けの一棟貸宿泊施設。

食事は域内飲食店と連携して、田舎料理を提供。


3月10日(木)
 
8:45 朝食後、各宿泊施設を出発
9:00

明日香夢の楽市へ集合

民家ステイ滞在者においては、離村式を実施

9:30

橿原市内、皮工房山本にてランドセル工房の見学体験。

講師: 皮工房山本 担当者

  ※ランドセルについての説明も実施。

  ※日本遺産資産群・大和三山周辺を散策

10:30 特産イチゴ・あすかルビーの収穫体験
石井農園
11:30

橿原市昆虫館見学
及び日本遺産関連遺産群散策
(横大路・中ッ道)

13:00

昼食

カフェ茶り茶り(明日香村)

14:00 明日香夢の旬菜館等の見学(お土産購入)
14:30

もちつき体験
担当:(一財)明日香村地域振興公社

 ※お持ち作り体験も実施

16:00

意見交換会

17:00 解散(橿原神宮前駅)

◆アンケート調査結果
 
 Q1. 特に印象に残った場所等(日本遺産以外)
 
 民家ステイとゲストハウスについて高い評価を得た。民家ステイについては、今までの実績から、ある程度の満足度がある事は予想できたが、予想以上の反応が返ってきた。
 ここでのキーポイントは「女子旅」と同じく地域住民との「交流」であった。女子旅よりもより一層「交流」に対する満足度は高かったと言える。飛鳥地域の民家ステイは飛鳥ニューツーリズム協議会の指導もあり、目的に「交流」をおき、その交流の為の手段として「体験」がある。今回の受入家庭(西川家・とまりゃんせ)もその理念を忠実に守っていた事もあり、民家ステイ参加者4名ともに、このモニターツアーで最も印象に残るアクティビティであったと振り返っている。また、この事業はインバウンドのFIT(個人富裕層)からの需要も期待できるとの提案が挙がった。今後、様々なハードルはあるが、日本遺産関連インバウンド旅行商品に必ず組み込んでいきたい素材であるといえる。ゲストハウスについては、今回の参加者が大学生ということもあり、その世代の嗜好に合致していたと言える。その中で古民家を活用しているという点、改装された中は水周りを中心として非常に清潔であるという点が評価を受けた。
 また、アクティビティでは、醤油蔵体験、ランドセル工房見学体験への反響が高かった。
 共に日本独自の文化であり、事業所の案内担当者のスキルも高かったため、満足度も高かったと推測される。事業所の本業との兼合いもあるが、時間と担当人材、及びやり方を工夫して、是非旅行商品に組み込んでいきたい内容であった。
 気がかりであったのはMICHIMOである。雨天中の走行でもあったので、その影響かもしれないが、走行中は非常に楽しく見受けられた様子が、振り返りではほとんど意見が出てこなかった。これも「交流」というキーワードに関連してくると感じられた。
 
 
  
 Q2. あまり印象に残らなかった場所等
 

 
 基本的には、全ての行程についてある程度の満足感があったようであるので、参加者からは、特に該当する箇所がなかったという意見が大半であった。その中でもあえて言えば、「交流」を伴わない物販施設、飲食店舗等が回答に挙げられていたことが特徴的であると言える。
 餅つき体験について、印象に残らなかったという意見があったが、深堀して確認すると準備段階から片づけまで一緒に体験したかった。設えられたところで与えられる作業をするだけでは物足りない、という内容であった。これはハンガリーの女性からの意見であり、この点は細かいマーケティングの世界になるが、一つのオプションとしてプログラムを構築していくうえでの参考になる意見であった。
 
 
Q3. お土産物について(橿原市お土産セット)

 
地場産業である靴下、地元飲食店が製造しているレトルトカレー、和菓子のセットを用意していた。
総じて、評価は高かった。特に靴下については、橿原市の地場産品であることを事前に説明して郷土色を前面にだした。このようなちょっとした工夫が外国人にとって非常に効果が高いことが伺える。また、都市部では購入できないような地産和菓子などへの質問もあがっていた。
 
  
Q4. インバウンドにとって必要なものについて
 
今回のモニターツアーについて、参加者にとって総じて満足度は高かったようである。
参加者の共通意見として、一般論として飛鳥を知っている外国人は非常に限られているであろう。1月に大阪大学の取組みとして飛鳥地域を訪れ、写経体験、ガラス玉体験など非常に満足感を得ることができた。それ故に留学生の間には、飛鳥という場所が非常に素晴らしいと感じることができたが、このような機会がなければずっと知らないままであった。このような事から、いかにして外国人に「飛鳥」を単にPRするのではなく、実際に知ってもらうかが非常に重要である。そのような知ってもらう機会として、日本遺産「飛鳥」の本事業が活用できるのではないか。
飛鳥時代に女性が躍動した・・・、そのようなストーリーを前面に出していくことも良いが、実際に飛鳥に滞在してもらう、そのうえで女性が活躍したストーリーを現地の住民が説明する、そのような順序が適していると思われる。ほとんどの外国人にとって、日本遺産「飛鳥」は難解。また、インバウンド誘致にとって、そのストーリーがキラーコンテンツとなるのかついては、参加者から疑問の声が相次いでいた。飛鳥の歴史・文化・交流の中で
日本遺産「飛鳥」を知識として吸収していく、そのような知的好奇心の強い層にターゲットを絞って、インバウンドを促進していくことが今後求められる。 
 
Q5. 日本遺産のポイントで印象に残ったところ

 
参加者全員が飛鳥寺跡(飛鳥寺)が最も印象に残ったようである。特に鐘をつく体験は多くの参加者が興奮しており、この点も良かったようである。
大和三山については、皮工房山本での工房見学のおり、香久山の麓を歩いて移動する際、香久山、及び周辺に点在する神社、遺跡、巨木等について説明がなされた。まさに体験プログラムのインストラクター(住民等)がガイドとなって日本遺産を案内する取り組みが行われていた。この効果は絶大であり、移動中、参加者から周辺の遺跡等についての質問が相次いでいた。偶然通りかかった地域住民からの説明があるなど、今回のモニターツアーで最もポイントとなる出来事であった。
 
 
Q6. 日本遺産のポイントで印象に残らなかったところ

 
結果として、目に見えず想像力を働かせないとわかりづらいポイントについて、印象に残らなかったようである。言葉の問題もあり、インバウンド対応時には日本遺産「飛鳥」を効果的に伝えるツールの整備も必須である。ただ、国籍や文化の違いなどから、日本人に比べて、外国人の反応は千差万別であることが今回のモニターツアーからも理解する事が出来た。あくまでもこの質問についての解答は参考程度にとどめるべきであると思われる。